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初めてのパリは1990年。
東西の壁が崩壊したばかりのベルリンから夜行列車で北駅に向かった。
寝台車に乗り合わせた老齢の婦人に向かって見回りにきた車掌さんが「ボンソワール、マダム」と話しかける。
「メルシィ、ムッシュ」と答えるマダム。パリに向かっているんだなぁと心が躍った。

それから幾度もパリに、フランスに通い詰めている。

フランスとはどんな国?
パリのどこが好き?
言葉にするのは難しい。

飛行機を降り立ち、外の空気に触れる。市内に向かうバスに乗り、
暫くするとモンマルトルの丘にそびえるサクレクール寺院が見えてくる。
ああ、またパリにやって来られたんだなと思う。

いつの頃からか、意識t期にパリ好きを公言するようになった。
考えてみれば、遥か昔から大勢の芸術家たちがパリに魅せられ集っていたんだっけ。
私ごとき凡人がたやすく引き寄せられてしまうのは、当然のこと。



メトロの中にタイヤのきしむ音が響くとき、
バスがセーヌを通るとき、
週末の市でいつもの顔ぶれと挨拶をかわすとき、
公園の芝生に寝そべり思い切り空を見上げるとき、
日曜の朝誰もいない大通りを鼻歌交じりに歩くとき、
カフェの店内にこだまする仏語のざわめきに身を置くとき、
まだ知らない細い路地を曲がるとき、
夕暮れの空の蒼さに目を奪われるとき、
オレンジに照らされた夜の凱旋門に佇むとき、

ほんとはそんなにいいことばかりじゃない。
ときには旅行者を装い、ときには住民のふりをすう。
たとえ何度通ったとしても、私の見知っているのはほんの僅かなことだけ。
自由と孤独と、いつも何かしらの発見を求めて、また私はフランスに向かう。

フランスの暮らしの中で大切に使われてきた生活雑貨、道具などを携えました。
どうぞゆっくりご覧ください。

                   スギヤマ タマミ







入り口にそっと掲げられたこのメッセージ。
「フランスとはどんな国だと思いますか?」と尋ねた私に、タマミさんはいろんな話をしてくださいました。

タマミさんによってずらりと並べられたフランスの古い物たち。
長い間息を潜めてきたそれらは、光の中で清楚な静寂を放っています。

それが、タマミさんとともに一つ一つ見ていくと、物たちがみんな急に生き生きとした存在感を放ち始め、楽しいおしゃべりを始めるのです。
タマミさんという理解者の助けを借りたら、100年分200年分伝えたいことがたくさんあるとばかりに。

第一次大戦後の頃のもの、1800年代の契約書、そして古いものでは1700年代のブックなど。

石畳の街で、にぎやかな店で、楽しい家庭の中で、使われてきた物たち。
その人たちはみんなもういなくなり、
街も変わってしまったけれど、物が時を越えて残っている。

そして遠い遠いこの土地へ旅をして、今私の目の前にある。

物を使い継いで行くことは、映画のなかでしかなかったような世界と直接触れられること。
それを作ったずっとずっと昔の人たちの思いを直接手にすることができるということ。



暮らしが楽しく。そして豊かに。
何かを手にするということは、物も食べ物も、すべて想いや命のバトンを受け取り続けていること、
そのことを一つ一つ意識して暮らせたら。

タマミさんの展示を通して、私は改めてそんな風に感じました。


みなさんはどのように感じられたでしょうか?


「私の知ってるフランス」展。
19、20 あと二日です。



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お薬の箱と水薬の瓶


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フラスコ 


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切手ケース と 手提げ袋の持ち手につけるショッピングハンドル    



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コーヒーミル


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19c後半から20c初頭にかけて製作された受領書、財産分与、賃貸契約などに関する書類


     豢サ迚亥魂蛻キ譛ャ_convert_20130118200554
活版印刷本(子供のためのお話など)








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