「お庭の環境が整って、植物が気持よく生きられるようになったら、お庭に降り立った人間も必ずなんだかすごく気持ちのいいものを感じるはずですから」

と、庭師の酒井さんは言っていました。


火曜日から3日間。
お庭の手術が行われました。

周辺の地形や環境をみて、ある程度の予想をたてる。
そして、掘ってみてその土や地面の下の感じを知る。
そして、処置を施した後に一体どう変化するのか、様子をみながら次の作戦をたてる。

これはもう、「工事」ではなくて、治療そのものですね。


一日目。
スコップ一つでどんどんと植物を掘り上げ、移動させていく酒井さん。
その手際の良さにビックリ。
夕方にはすっかり何もなくなってしまいました。
(私は小さな植物だけを手で掘って、楓や大きな木は重機でやるのかと思っていました。)

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スコップで掘ってみたら、わずか20cmでガチガチの地面にあたってしまうそうです。
「ここはもう、土の色をしたコンクリートだと思ってください。
根がここから下に伸びていけないので、みんな横へ横へと広がっている。
木を掘り上げる時、普通栄養のいい山の木なんかだと、下に向かって立派な根が伸びているので、まわりこんで根を切ってやらなくちゃいけないんだけど、ここは下に全く生えていないので、周囲だけ切ってやれば簡単に抜けてしまう。」状態。

この土地は、店の前の坂を見ても分かるように、西から東に降りていく山の斜面に立っていて、なので土に沁み込んだ水は西から東に向かって流れている。
だけれど、店の東側にアパートが建ってしまって、そこで断崖の壁でせき止められてしまっています。

なので、水も空気もどこにも行けなくて、たまりにたまっている。
その粘土質の土がぎゅうぎゅうにまるでコンクリートのようになっているのだそうです。




二日目。
カワイイ小さなユンボで現れた酒井さん。
土を掘り上げて周囲に溝を掘っていきます。
溝には穴のあいた管を通して、周囲に枯れ枝や石を敷き詰めます。
こうすることで、溝に流れた水がこの管に入りこんで、いちばん低い西側のか所に向かっていくようになるのだそうです。

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この西側の一番低いところに、穴を掘ったら、どんどんと水が沸き出してきました。
今までにたまっていた水が出てきたのでしょう。
一日たっても全然引く気配がない
(写真は、その水を利用して、一時的に抜いた植物を置いている状態)

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予想をはるかに超える水のたまり具合だそうです。

ですが、こうして水が沸き出しているということは、土にたまったものが抜けていっているということ。
水が抜ければ空気が入っていく。
(コンクリートのような土も、空気に触れればポロポロと軽く崩れ始めるのだそう。)

あぁ、ぎゅうぎゅうに詰まっていたものが流れ始めたんだ…と思ったら、とっても気持ちがいい。





この土は・・・と酒井さんも絶句。

「本当にいい決断をされましたね」と。
このままでは・・・と。

力強くおっしゃったその言葉に全てが現れていましたし、
それは酒井さんの口を通して、まるでお庭が言っているような、そんな気がしました。




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3日目。

いい天気。
何だか気持ちよく起きた私は、朝からすいすいと身体が動きます。

二日間くさい匂いが漂っていたお庭
(というのも、生ごみコンポストを設置していたのですが、うまい具合に堆肥にならず、ヘドロ化してきていたので、そのまま密閉して完全に土になるのを待とうとしてあったのですが、酒井さんがそれを開けて土と混ぜてくれたのです。
うまく堆肥にならなかった途中のそれは、何だか臭いにおいを発していました。

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酒井さんは、棘のコンポストがうまくいかなかったことについて、
「ここはそんな訳で、ガチガチの土で、言ってみればコンクリートの上に置いているようなもの。
水分がどこへも抜けていかないから発酵せず、うまくいかなくて当然だと思う。
むしろ、こうしてオープンな土の山の中に混ぜ込んであげた方がまだ、発酵する可能性が高い。」
ということで、今後のコンポストのやり方についても一緒に考えてくれることになりました。

そんな、ダメダメコンポストの匂いがプ~ンと昨日まで漂っていたのですが、3日目のお昼近くには匂いも消えていました。

コンポストだけでなく、酒井さんの感じるところによると、昨日土を掘り返したことで、今まで封印状態だった土からいろんないや~な匂いが今朝は立ち込めていたそうですが、このポカポカおひさまのおかげですっかり消えましたね。って。

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そういえば、私、
昨日おとといと、とっても身体がだるかった。
まぁ、最近忙しくてつかれているということもあったのでしょうが、
のんびりだった火曜に手仕事をぽつぽつやっていたのですが一向にはかどらない。
昨日も試験勉強があったのに、いまいち集中できない。
だるくて眠くて・・・

それは、つかれなのかもしれないけれど、
もしかしたら植物や土の発するものを受け取っていたのかもしれない。

今朝はなんだかとっても気分がいいのです。
すいすいとお掃除して、
そして、昨日あんなに難儀していた試験勉強もスイスイ頭に入ってきて。
(今日はNARDのアロマアドバイザーの試験があったのです…)


何だか不思議ですね。

そして、植物がみんなどけられて、土が丸裸になった、
まぁ言ってみれば「工事現場」ですよ。
それなのに、おひさまに照らされている土をみているととってもとってもうれしくて、
気持ちがよくて、
うっとりした眺めに思えます。

今日はこの土に、
燻炭と、バークチップをかぶせてあります。
こうすることで、山で言う落ち葉のような状態に。
土が雨にあたりすぎないようにと、微生物の分解を促すのと、効果いろいろいろいろ。

山は自然の流れでこれが行われているんだと思うと、本当に驚いてしまいます。

今回の炭は、特別な炭を酒井さんもこの度初めて使ってみたのだそうです。
機械的にただ作られた炭ではなく、手作りで心をこめてじっくり焼かれた炭だそう。

こういう炭は全然違うんだよね。
どんな変化が起こるか楽しみだねって。
はい。とっても楽しみです。



今回の手術はここまで。
しばらくこの状態で置いておきます。
ガチガチに固まった土に空気が入り、湧きだした水がどうなっていくのか、を見つつ。
4月頭にその様子を見て、植物を植えていきます。

なので半月ほどは窓の外は禿げた築山の景色ですが、
それもまたシュール!
じわじわと土が回復するのを感じながら待つのもいいものです。

と思って、ご理解いただければと思います。

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この間に酒井さんは山梨のお師匠さんのお仕事に同行。
(本当にお忙しい中、無理やり3日間の時間を作りだして名古屋まで来てくれたのです。)
そのお仕事では、粘土質の土の改善を勉強するのだそうで、またさらに深めて、棘のお庭に戻ってきてくれるのです。
(そして、その現場には野草(和ハーブ)がたくさんあるから、棘に植えるのに持ってきてあげるね。ですって。)
ホントに幸運なことです。


酒井さん。
このお庭は何としてもやり遂げたい!
と言ってくださっていて、ものすごい情熱を感じます。

その仕事ぶりをみているだけで、感動。感謝。本当です。

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なんだかね、よく縁のある土地に移ることになったときなんかに、
「土地に呼ばれたんだね」と言ったりしますよね。
私も名古屋に戻るつもりでなかったのに、思いがけず戻ることになったりして、たくさんの人から
「呼ばれたね」と。

でも、この第一弾の手術を終えて、静かに呼吸をしているこのお庭を眺めていたら、

あぁ、私はこのお庭に呼ばれたんだな。と。どうしてもそんな思いが沸いてきました。


先日読んだ、いとうせいこうと竹下大学の対談「植物は人を操る」に、人間が植物を操っているように見えて、実は植物が人間全体を操っているように思う時がある。という一節があったのですが、
本当にそんな気がしてきました。

このお庭はもう限界を超えて苦しくて、何とかしてもらいたくて、
そして、長野にいた私を呼びもどした。


そして、酒井さんを呼び寄せた。




なんてね。



何だか気持ちのいいお庭。

まだ手術を終えたばっかりですが、早くも私はとっても心も体も軽く、何だか気持ちがいいのです。







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コメント
お庭の手術
いやあ、酒井さんいい仕事してますねえ。お庭の呼吸が感じられるようです。
私も始めたときからどうにかしてやりたかったこのお庭、そのときはまだ手段がなかった・・・今、このタイミングでみわちゃんに託せたのも意味があったのかもね。いい形で元気な姿になるのが本当に楽しみ!
けいこ│URL│03/16 01:06│編集

今までみてきたなかで一番嬉しそうな報告。
私も京都からかえって棘さんに行くのが楽しみです。

お庭が生まれかわったらまたお庭の人の絵を描きたいです。
芙弥佳URL│03/16 10:07│編集
和ハーブ
和ハーブ植えてくださるなんて
酒井さん素敵です。

お庭も喜んでる!
楽しみですね~♪(^-^)



もっちん│URL│03/16 21:52│編集
もっちんへ
今日はありがとう。
前回と違って、カフェの雰囲気やお庭の空気を今日はじっくり味わえたんじゃないかなと思っています。
(私はバタバタしててあんまりお話しできなくて涙でしたが…)

4月2日は植え込みが始まります。
きっとたくさんの人にワクワクを届けられる、ステキな庭になると思います。
乞うご期待!


薬草labo.棘│URL│03/25 00:19│編集
芙弥佳さんへ
酒井さんを呼んだということで、
このお庭には確かにお庭の生がいるということをワタクシ確信しております。

また、芙弥佳さんの筆からどんな人が現れるのか。
楽しみにしていますね!

薬草labo.棘│URL│03/25 00:21│編集
けいこさんへ
カトウユカリ展が始まって、マノマノ界隈の、ここの歴史を知ってる方々がたくさん訪ねてくれています。
そしてみなさん一様に、お庭が元気がないのが気になってたから、よかったよかったって。

たくさんの人に愛されているねぇこのお庭は。

きっと気持ちの良い場所に生まれ変わるから楽しみにしていてくださいね。
私も棘主として、ここの管理人として、がんばります!


薬草labo.棘│URL│03/25 00:28│編集
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